二酸化炭素(CO2)排出や、水といった資源の使用――。私たち人間は日常生活で、環境にいろいろな負荷を与えます。近年は、人間活動の環境への影響を見える化する「エコロジカル・フットプリント」が話題になっているのですが、これはもはや人間に限った話ではないかもしれません。
8月下旬、シドニー大学の獣医学部が開いたシンポジウムでは、エコロジカル・フットプリントならぬ、エコロジカル・パー(Paw)プリントという言葉が注目を集めたそうです。Pawは動物の足を指す英語で、エコロジカル・パープリントはつまり、犬や猫など人間が飼っているペットによる環境への影響を表すといいます。
動物愛護が根付いているオーストラリアではペットを家族の一員ととらえる人が増え、年間平均の餌代として犬には$1,500、猫には$1,000が費やされているとのことです。そんななか、ペットたちの食生活が環境に及ばす影響も大きくなり、赤い肉の消費による環境へのインパクトの3割は犬と猫によるものだという米国の調査もあります。
シドニー大学のシンポジウムでは、どうすれば、ペットを大切にしながら、エコロジカル・パープリントを減らせるのかについてディスカッションされました。それを踏まえ、具体的な提案として同大学のホームページで公開しているのは、例えば
- Don’t overfeed your pets(餌を与えすぎない)
- Ask your vet what you should feed your animal(適切な餌について獣医に相談する)
- Choose a smaller pet(小型のペットを飼う)
これらを心掛ければ、餌の量などを抑え、より環境にやさしいペット飼育ができるといいます。日本でも犬や猫を飼っている方にとってヒントになりそうです。
シドニー大学はあらゆる分野での研究に力を入れながら、研究によって得られた知識を一般市民と共有して生活の改善に生かすことに注力しています。
【この記事は、2019年秋に公開したフェイスブック投稿を再構成したものです。】