第2回
マッコーリー大学 大学院 通訳・翻訳コース
~1年目を振り返って~
空閑 洋始 さん
大学院留学 オーストラリア 社会人
留学先 | マッコーリー大学 Macquarie University |
---|---|
コース | Master of Advanced Translation and Interpreting |
期間 | 2015年2月~2016年12月 |
通訳・翻訳コースいよいよスタート!
10週間の英語学校をなんとか無事修了し、2015年2月、マッコーリー大学大学院の通訳・翻訳コースに入学しました。当コースにはいくつか種類があって(編成は随時変わっているようなのですが)、大まかに言うと1.5年コースと2年コースがあります。私は成り行きで2年コースに入りました。どちらもMA(修士号)が取れるので、授業料のことなども考え、最初は1.5年コースに入るつもりだったのですが、入学前に「1.5年コースは無くなったので2年はどう?」という案内が来て、仕方なく2年に変更。でも結局1.5年コースも復活したのですが、再度変更するのが面倒というのと、2年間大学院に通うとその後2年間は無条件でオーストラリアの労働ビザが取得できるらしいので、そのまま2年コースに通うことに決めた次第です。そして今、最初の1年が終わって、長い夏休み(南半球は夏!)を過ごしているところです。
授業を通して世界中の人たちと友達になれることが、留学して勉強する一番の楽しさだと思います。
マッコーリー大学大学院の通訳・翻訳コースは、1年が2学期(セメスター)に分かれています。日本の大学や大学院では、授業は多めに取ったりできるところが多いと思いますが、こちらでは授業1つごとに授業料が取られる仕組みになっており、つまり指定されたぴったりの数の授業を受けることになります。1学期4コマです。1年間で8つの授業を受けました。
授業1コマは2時間または3時間または4時間。ただし4時間の授業は2つに分かれており、実際には1週間に5つの授業を受けるような感じでした。2時間、3時間の授業なので、最初は「長いなあ」と思っていたのですが、途中に休憩が入ることがほとんどで(なぜか女性の先生はあまり休憩を入れない)、また、授業は、先生の一方的な講義ではなく(中にはそういうのもあるようですが)、学生に頻繁に発言が求められたり、学生同士でディスカッションしたりしなければならないなどけっこう緊張感があるため、意外と長くは感じられません。
1学期も2学期も、それぞれの4つの授業のうち2つは中国人、韓国人、日本人、それからスペイン人やドイツ人その他すべての留学生が一緒に受ける授業なので、グループディスカッションなどでいろいろな国の人たちと話をし、知り合いになり、仲良くなれ、友だちが増えます。この点がやはり一番の、留学して勉強する楽しさだと思います。ちなみに私の同期生は全部で40人くらい。30人くらいが中国人で、日本人4人、韓国人5人くらい、その他の国の学生がちらほら、という感じです。男は私を含めて4人くらいです。53歳などというおじさんは私一人で、男女とも大半が20代の若い人たちです。もちろん、私はクラスの中で、頭が薄いことも手伝い、超目立っていますので、どの授業でも必ず先生から質問が飛んで来るので気が抜けません。まあ、名前もすぐ覚えてもらえるので、それはそれでいいことだと思わなければならないでしょう。
英語習得への道の険しさを改めて感じました。
授業はもちろん英語です。大半の先生が容赦なく普通に早口でしゃべるので、何を言っているのか聞き取るのが最初は大変でした。いや、1年経った今でもまだかなり大変です。授業中先生から質問が来ても、何を質問されているのか分からなかったりします。多分こんなことを聞いているのだろうなと予想しながら(かなり適当に)答えたりしています。でも、「今日の宿題、先生何って言ってた?」と中国人のクラスメートに聞くと、「分からなかった」という答えが返ってくることも少なくなく、みんな分かっているような顔をして実は分かってないんだなと、ちょっと安心するようなこともあります。まあ、言葉の習得というのは本当に難しく、少しずつ、少しずつなんだなと、あらためて感じています。通訳・翻訳という言語の習得が最低条件と思われるコースにいてもなお、なかなか大変です(英語をもっと勉強したいからこのコースを選んだというのもあるのですが…)
この1年、楽しいこと、楽しくないこと、両方ありました。
留学は楽しいことだけではありません。とっても残念だったのは、各学期4つの授業のうちの残り2つです。「通訳プラクティス」「翻訳プラクティス」という、この通訳・翻訳コースに通う学生にとっては最もコアなクラスで、評判も非常に高かったのですが、私たちの入学時からカリキュラムが変わってしまいました。
私たちの入学以前は、この2つのクラスは言語別に行われていました。日本語と英語間の通訳・翻訳ならば、日本語と英語間の通訳および翻訳専門の先生が日本人だけのクラスを教えるという具合です。2年ほど前に授業を見学したのですが、その時もこの日本人だけの授業の様子を見て、なかなかいいなあと思いました。しかし、私たちの入学時から、この言語別の授業は無くなってしまい、日本人と韓国人とスペイン語を学ぶ学生が一緒の「マルチリンガルクラス」というものに変わってしましました*(中国人は人数が多いため、以前のままの中国人のみのクラス続行)。これから入学される方は、その辺りをよく確認された方がいいと思います。
といったことで、楽しくもあり、また思うようにいかないこともありの留学生活ですが、トータルとしてはOKというか、OKにしないといけません。年齢も性別も超えて、いろんな国の仲間ができたということが一番の成果であり、その仲間と一緒に力を合わせて実りのある留学生活にしていきたいと考えています。
*チュートリアルなどを通して、日英通訳は引き続き学ぶことが可能です。