K・Hさん
2022年9月からイギリスのイーストアングリア大学修士課程「MA Creative Writing Poetry」に留学中。
イーストアングリア大学へ留学中のK・Hさんからのリアルな留学体験談を連載でお届けします!
今回は、日本出国からイギリス到着までの様子や到着後の寮生活などについて詳しくお伝えします。
大学院留学をご検討中の方やイーストアングリア大学に興味がある方はぜひお読みください。
現地から留学体験レポートをお届けします!
みなさん初めまして。私は日本の大学院を休学し、Creative Writing Poetryの修士号を取得するためにイギリスのイーストアングリア大学へ留学しています。これから1年間にわたって、イーストアングリア大学のキャンパスがある、穏やかなノリッチ(Norwich)の街での留学生活を紹介していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
いよいよイギリスへ出発!
私はコロナの影響で予定よりも一年留学を遅らせたせいか、羽田空港で家族とパートナーに見送ってもらい、保安検査場を通ったあとでも、「留学に行く」という実感が湧きませんでした。夜の便で出発し、機内ではひたすら眠りましたが、ヒースロー空港に着いてからは、ロンドン市内のホテルにチェックインするまでいっぱいいっぱいでした。そんな訳なので、どうにかノリッチにたどり着き、入寮した今も、留学しているという実感がありません。授業が始まればだんだん実感が湧いてくるだろうと想像しています。
友人がたまたま同じ大学院に同時期に進学することになっていたため、彼女と一緒に日本を発ち、入寮日までゆったりとロンドン観光をしました(飛行機の都合により入寮日の二日前にイギリスに到着しました)。長時間のフライトも、イギリスに到着してからも、一緒にいてくれる人がいたのはとても心強かったです。入国審査はコロナの規制もなくスムーズに終わりましたが、「二人いればなんとかなるね。」とお互いに言い合い、安心して飛行機の長旅を終えることができました。
新生活にむけて基盤を整える
ロンドンのホテルから一度空港に戻り、大学が学生送迎用に手配しているバスに乗り、ノリッチへ向かいました。ロンドン中心部からノリッチまでは電車でおよそ2時間の距離ですが、イギリスは鉄道ストライキが起きやすいと聞き、あらかじめバスを予約しておきました。また、出国直前に大学から、「エリザベス女王の国葬の影響で電車の遅延が起こる可能性があります。バスでの送迎を予約することを強くおすすめします。」という連絡もあったので、電車ではなくバスで移動することにしておいてよかったと思いました。ロンドンでもノリッチでも、エリザベス女王への敬愛の意を込めた看板が多くみられました。
寮に到着し、さっそくスーツケースを開け、これから住む部屋を居心地よくするために整えていきました。整理整頓をしているうちに、いかに生活必需品が足りないかをまず実感しました。飛行機の重量制限ぎりぎりの量を持ってきていたにも関わらず、寮に到着して最初の三日ほどはひたすら買い物に出かけました。バスに乗って大学から15分ほど離れた街の中心部へ行ったり、大学から徒歩15分ほどのスーパーへ行ったりしているうちに、お店によって、商品の種類や値段が違うことを確認できました。私は車の運転が得意ではないので、大型の荷物やかさばるものなどはAmazonやスーパーのネット通販で注文しました。
生活に必要なものを揃える以外にも、やらなくてはいけないことはたくさんあります。銀行口座を開設したり、授業の科目登録をしたりと大忙しです。また、寮に到着してまず気が付いたのが、トイレの水漏れと点灯しない照明でした。修理を依頼し、すぐに直してもらいました。忙しい時にさらにやらなくてはいけないことが増えたのは少し面倒でしたが、対処法を学ぶ良い機会になりました。
今後の大学生活に癒しを与えてくれるセラピードッグ
大学では新年度に向けてたくさんのイベントが行われ、お祭りムードです。野外コンサートやクラフトワークショップ、スポーツクラブの体験など、毎日様々なイベントが開催されています。私は大きな音や人混みがあまり得意ではないため、大学の新入生歓迎イベントのようなものにはあまり参加しなかったのですが、セラピードッグに会えるイベントには参加しました。大学の敷地はかなり広く、自然豊かで大きな池もあるので、犬を飼ってる人には人気のお散歩スポットです。犬をなでさせてくれる飼い主さんもいますが、大学のセラピードッグはそういった飼い犬と違い、その名の通りセラピーを提供するためにいる犬です。楽しいだけでなく、ストレスの多い学生生活にひと時の癒しを与えてくれる存在です。私は動物が好きなので、いつセラピードッグが出勤しているかしっかり確認し、その曜日や時間は積極的にキャンパスへ向かおうと思いました。
大学ではセラピードッグ以外にも、心の健康をサポートしてくれるシステムが充実しており、一対一のカウンセリングや、ワークショップなどが利用できます。そうしたものが不要であるに越したことはありませんが、万が一必要になった際に一から調べるのは大変だと思い、情報を確認し、いつでも利用できるように準備をしておきました。
留学先での一人暮らしで身につける生活スキル
入寮してから授業がはじまるまで、生活を整える期間が約2週間あります。大学の膨大な敷地を散策したり、授業で使う本を図書館で借りたりして、ゆったり過ごしています。また、この期間に自炊の練習もしています。大学内には食堂やカフェが多少ありますし、街の中心まで行けばさまざまなレストランがありますが、生活費を抑えるために積極的に作り置きをしています。
野菜も果物も、スーパーを選べば比較的安価で手に入りますが、一番困ったのは材料ではなく、調理器具でした。イギリスは刃物の規制が厳しく、気軽に包丁が手に入りません。お店でも探すのに苦労し、見つけたと思ったらID(パスポートなど)を持ち合わせていなくて買えず、ネットで頼もうとしてもやはり証明書を提示しなければ買えませんでした。包丁が手に入るのに時間がかかってしまったので、それまでは具材を手でちぎり、バターナイフで切り込みを入れてから手で折る(私はこうしてニンジンを調理しました)など、かなりパワフルに 料理をしていました。
日本にいた時は家族と暮らしていたので、主に母がしてくれていた小さな家事の存在に気がつきませんでした。例えばお買い物一つにしても、必要な商品を見極め、値段を比較し、購入し、なくなる前に買い足す、という一連の動作をいくつもの品物に対して行わなければいけません。掃除についても、汚くなって初めて、そこも掃除しないといけないんだ、と気がつくことがありました。私は今まで暮らしていた環境の豊かさと、それを保ってくれていた母に感謝するとともに、この歳になってやっと構築された生活のありがたみを感じていることを少し恥ずかしく思いました。イギリスでは、勉強だけではなく日常の生活のスキルも伸ばしていきたいと思います。もちろんこれは留学特有のことではないですが、初めての一人暮らしの経験として書き残しておきたいと思いました。
私は大学院生用の寮の一人部屋に住んでいます。部屋にはトイレとシャワーがありますが、キッチンは共用です。料理をしていると、フラットメイト(寮の友人)がキッチンにやってくることもあります。共有スペースで雑談したり、パーティーをしたり、一緒に科目登録の方法を調べたりして仲良くなることができ、とても楽しい時間を過ごしています。大学の授業が始まる前に、素敵な友人ができたので、これからの留学生活がさらに楽しみになりました。
読んでくださった皆さまへ
今回は、日本出国からイギリス到着までの様子や到着後の新生活についてお伝えしました。
10月からは本格的に授業が始まります。次回は授業の様子や慣れてきた生活で感じることについてお伝え出来たらいいなと思っています。
イーストアングリア大学について
イーストアングリア大学(University of East Anglia)は1963年に創立された、イギリスのトップ大学の一つ。多くの研究分野での高評価はもちろん、学生満足度が高い点でも知られています。教育・研究については「創造」を重視しており、2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏をはじめ、数多くの著名な卒業生がいます。