「海外の大学への留学を考えているけれども、大学のレベルを比べるにはどうしたら良いの?」
「よく見る『QS世界大学ランキング○位』って、そもそも何を測っているの?」

留学先の大学選びを始めると、必ず目にするのが世界大学ランキングです。複数あるランキングのなかでもっとも広く参照されているのが、イギリスの高等教育評価機関Quacquarelli Symonds(クアクアレリ・シモンズ、以下QS)が発表する「QS World University Rankings(QS世界大学ランキング)」。2026年6月には最新版となる「QS World University Rankings 2027」が公開されました。
QS世界大学ランキングとは?
QS世界大学ランキングは、QSが2004年から毎年発表している、世界の大学を対象にした総合ランキングです。「QS World University Rankings 2027」では、世界の1,504校が評価対象となり、うち98校が新規ランクイン校でした。
5つの評価軸と9つの指標を基に算出
QSランキングは、以下の5つの評価軸と9つの指標を基に、各大学の総合スコアを算出しています。
| 評価軸 | 配点 | 内訳 |
| Research and Discovery(研究力) | 50% | Academic Reputation(学術評価)30%/Citations per Faculty(教員あたり論文被引用数)20% |
| Employability and Outcomes(雇用実績) | 20% | Employer Reputation(雇用者評価)15%/Employment Outcomes(卒業後の実績)5% |
| Global Engagement(国際性) | 15% | International Faculty Ratio(外国籍教員比率)/International Student Ratio(留学生比率)/International Research Network(国際研究ネットワーク)各5% |
| Learning Experience(学習環境) | 10% | Faculty Student Ratio(教員あたり学生数) |
| Sustainability(持続可能性) | 5% | 大学の社会的・環境的な取り組み |
もっとも配点が大きいのは「Academic Reputation(学術評価)」の30%。こちらは「QS Global Academic Survey」という学術関係者向けアンケート調査に基づく指標で、研究者コミュニティの中でその大学がどれだけ評価されているかを示す指標と言えます。次いで大きいのが「Citations per Faculty」20%で、教員1人あたりの論文被引用数、つまり研究のインパクトを測る指標です。
また、留学を検討するうえで見逃せないのが「Employer Reputation(雇用者評価)」の15%。こちらは「QS Global Employer Survey」というアンケート調査に基づく指標で、卒業生の実務能力に対する雇用者側の評価を反映しています。「良い研究をしている大学」と「卒業後に評価される大学」は必ずしもイコールではないため、この指標は非常に実践的な視点を与えてくれます。
2027年版の全体的な傾向

QSの分析によると、2027年版は「トップ層は安定、その下は流動的、そして世界的な競争は加速」というのが全体像です。マサチューセッツ工科大学(MIT)が15年連続で1位を獲得し、2位インペリアル・カレッジ・ロンドンとスタンフォード大学が同率、4位オックスフォード大学、5位ハーバード大学、6位ケンブリッジ大学と、トップ10の顔ぶれ自体に大きな変化はありませんでした。
一方で、東アジアや中東の大学が上位200位以内で存在感を増しています。特に中国は新規ランクイン数・上昇数ともに世界最多を記録し、20位以上順位を上げた大学は29校もありました。また、韓国の10校、UAE・サウジアラビア・マレーシアの各5校も20位以上順位を上げています。国際的な学生獲得競争が激しくなる中で、留学生の受け入れ制限や卒業後の就労ビザ制度の変更などが、各国の大学の「国際性」評価軸に影響を与えていることが背景にあるとQSは分析しています。
イギリスのランキング上位校
イギリスでは、QS世界大学ランキングのトップ100に、ラッセルグループ加盟校24校のうち16校がランクインしています。「ラッセルグループ」とは、1994年に発足した、イギリスの研究型大学24校による団体で、同国の研究・高等教育を牽引する存在です。オックスフォード、ケンブリッジ、インペリアル・カレッジ・ロンドン、UCLなど名門校の多くが含まれています。
| 大学名 | 順位 |
| インペリアル・カレッジ・ロンドン | 2位 |
| オックスフォード大学 | 4位 |
| ケンブリッジ大学 | 6位 |
| ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL) | 8位 |
| エジンバラ大学 | 35位 |
| キングス・カレッジ・ロンドン(KCL) | 37位 |
| マンチェスター大学 | 40位 |
| ブリストル大学 | 57位 |
| ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE) | 62位 |
| ウォーリック大学 | 68位 |
| バーミンガム大学 | 68位 |
| リーズ大学 | 77位 |
| グラスゴー大学 | 80位 |
| シェフィールド大学 | 82位 |
| ダラム大学 | 85位 |
| ノッティンガム大学 | 97位 |
他にも、クイーン・メアリー(ロンドン大学)(103位)やサウサンプトン大学(111位)、エクセター大学(136位)、リバプール大学(139位)など、トップ100圏外ながら好調な結果を残した大学が複数あります。なかでも、クイーン・メアリーは過去3年間で42位、リバプール大学は過去4年間で50位以上も順位を上げているのが特徴。エクセター大学は昨年から19位も上昇して136位に入り、過去最高順位を更新しました。
オーストラリアのランキング上位校
オーストラリアは、グループ・オブ・エイト(Group of Eight、以下Go8)加盟校8校すべてが世界トップ100入りを果たしています。Go8は、1999年に法人化されたオーストラリアの研究型大学8校による連合で、「オーストラリア版ラッセルグループ」とも言われる存在です。
| 大学名 | 順位 |
| ニューサウスウェールズ大学(UNSWシドニー) | 19位 |
| メルボルン大学 | 22位 |
| シドニー大学 | 28位 |
| オーストラリア国立大学 | 29位 |
| モナッシュ大学 | 31位 |
| クイーンズランド大学 | 40位 |
| 西オーストラリア大学 | 77位 |
| アデレード大学 | 79位 |
日本の大学のランキング結果
日本国内の大学もQS世界大学ランキング2027で存在感を示しました。世界トップ100入りを果たしたのは、以下の4校です。
| 大学名 | 順位 |
| 東京大学 | 39位 |
| 京都大学 | 64位 |
| 大阪大学 | 95位 |
| 東京科学大学 | 97位 |
特筆すべきは京都大学。「Academic Reputation(学術評価)」で世界21位、「Employer Reputation(雇用者評価)」で世界24位と、いずれも高い評価を受けています。また、東北大学は102位、名古屋大学は156位、早稲田大学は201位、慶応義塾大学は213位と、トップ100圏外ながら好調な結果を残しています。母国のトップ校がランキングのどのあたりに位置しているかを知っておくことも、留学先を選ぶうえでの一つの目安になるでしょう。
QSランキングを志望校選びにどう使うべきか
最後に、QS世界大学ランキングの結果を大学選びにどう活用すべきか、留学エージェントの視点からお伝えします。

QS世界大学ランキングは、「Research and Discovery(研究力)」(特に「Academic Reputation(学術評価)」)の比重が大きいため、「就職に直結する実践力」を測るにはやや不向きです。専攻したい科目・コースが決まっていて、将来的にその分野にかかわる仕事に就きたい場合は、「QS World University Rankings by Subject(QS科目別世界大学ランキング)」もあわせて確認することをおすすめします。
たとえば、サセックス大学は、QS世界大学ランキングでは273位ですが、開発学の分野では10年連続で世界1位に輝いています。また、世界ランキング37位のキングス・カレッジ・ロンドン(KCL)は、看護学の分野において過去8年間にわたり世界トップ2に選ばれています。
また、QS世界大学ランキングの上位に入るということは、研究力や雇用実績において高く評価されている大学であることに違いありませんが、大学を選ぶ際は、「学びたい分野の強み」「留学先の生活環境」「合格(オファー)を獲得できる可能性」「卒業後のキャリアパス」といった要素も総合的に検討することが大切です。
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