こんにちは!ケンブリッジ大学ビジネススクールでMBAプログラムを受講しているTです。
MBAプログラムが9月中旬に始まってから2か月半が経ち、Cambridgeの街はすっかりクリスマスムードに包まれています。今回は、MBAプログラムの学習面についてご紹介したいと思います。
オリエンテーション
プログラム開始後の最初の約2週間は、オリエンテーションが中心の期間であり、Cambridge Judge Business School (CJBS) は学生同士の交流を促すイベントを数多く企画してくれます。学生たちはここで互いに知り合い、多様なバックグラウンドを持つ同期との絆を深めます。

CJBSのエントランス周辺のスペースを活用したイベントや、近くのホテルの庭でのバーベキューなどが開催され、200人以上の同期が一堂に会して交流できる貴重な機会となります。
また、オリエンテーションの一環として、大学指定のStudy Groupメンバーとともに「Scavenger Hunt」という宝探しのようなゲームに参加します。ケンブリッジ周辺の名所や名物を巡ることで、異なるバックグラウンドを持つメンバーとも自然と打ち解けることができました。このScavenger Huntを通じて、ケンブリッジ名物のパンティングも体験することができました。

講義の概要
9月下旬には本格的な講義がスタートします。ケンブリッジMBAでは、1年間をMichaelmas Term、Lent Term、Easter Term、Summer Termの4つに分けており、Michaelmas Termはいわゆる1学期目にあたります。この学期では、2時間の講義を週に7~8コマ受講するため、それなりの時間を講義やその準備に充てる必要があります。
約200人の学生が4つのグループに分けられ、各グループ単位で講義を受講します。Michaelmas Termでは必修科目のみが開講されているため、すべての科目を同じメンバーとともに学ぶことになります。学生全員がミクロ経済学、統計、会計、コーポレートファイナンスなどを履修しますが、予習の進め方や理解のスピードには、各自のバックグラウンドによって大きな差が出ると感じました。

統計、会計、コーポレートファイナンスについては、TAによるサポートが充実しており、講義で理解が不十分だった点を復習し、質問できる補講が用意されています。
また、これらの科目に加えて、異文化理解やリーダーシップの発揮に必要なソフトスキルの習得を目的とした授業もあります。これらを通じて自己認識 (Self-Awareness) を深め、異文化や組織・個人の行動原理を理解することで、多国籍のメンバーと協働する際のリーダーシップの在り方を考えるための理論的基礎が得られます。そして、こうした理論を実践する場として、Cambridge Venture Project(CVP)が用意されています。
CVPでは、国籍や専門性の異なる学生5人ほどでチームを組み、イギリスのベンチャー企業などが抱えるビジネス課題に対してアドバイスを行います。このプロジェクトを通じて、学んだ理論と実際の自分やチームの行動との違い、その背景にある要因を考察する機会が得られます。また、自分の仕事の進め方が周囲にどう受け止められ、評価されるのかを知るきっかけにもなります。
講義の予習
学習教材は基本的にオンラインのプラットフォームで提供されており、講義前にはオンライン講義の視聴や文献の予習が求められます。Michaelmas Termの講義では、発言による貢献が成績に反映されないため、予習の取り組み方には個人差があるように感じます。
予習にかかる時間は講義によって異なり、1時間程度で済むものもあれば、数時間を要するものもあります。すべての講義を完璧に予習しようとすると、ソーシャルイベントへの参加が難しくなりますが、これはMBAで何を重視するのか、自身の目標や優先順位を明確にする良い機会にもなると感じました。
また、同級生の中には小さな子どもを連れている学生も多く、皆、限られた時間の中で予習時間を捻出するのに苦労しているようでした。私自身も妻と子どもを連れて留学しており、時間の確保は当初から大きな課題でした。しかし幸いなことに、ケンブリッジは夜の娯楽が少ないため、子どもを早めに寝かしつけ、自分も子どもより早く起きて勉強時間を確保するようにしています。
カレッジ制度
ケンブリッジ大学は、大学本体と31のカレッジで構成されており、ケンブリッジのコミュニティにおいてカレッジは大きな役割を担っています。カレッジ制度は世界的に見ても珍しく、Oxbridge(オックスフォード大学とケンブリッジ大学)にしか存在しないようです。
学部入学の場合、各カレッジが中心となって選抜を行いますが、MBAはCJBSが選抜を担当するため、合格するまではカレッジを意識する機会はあまりありません。しかし、MBAの学生も必ずいずれかのカレッジに所属することになります。
カレッジにはMBAの学生だけでなく、さまざまな専攻の学生が所属しており、カレッジのイベントに参加することで、MBA以外の学生とも交流し、異なる視点や知識を共有する貴重な機会が得られます。例えば、MBAの同級生の中には、得意のピアノを活かしてカレッジ主催のピアノイベントに参加し、カレッジの学生と交流を深めている人もいます。
私を含め、多くの日本人入学者は、このようなカレッジ制度による学際的な環境に魅力を感じてケンブリッジを選んでいるように思います。

最後に
まだ2か月半ほどの体験ですが、想像以上に多くのチャンスがCJBS、カレッジ、そして優秀な同級生から提供されていると実感しています。MBAの目標を見失わず、その数多くのチャンスの中から自分がどこに注力するかを取捨選択することが重要だと感じました。
引き続きBEOのブログでは、ケンブリッジ大学ビジネススクールにおける生活の様子を紹介していきます!