この記事を書いた人
Ishii Takehiroさん
2022年9月よりイギリスのリーズ大学ビジネススクール修士課程「Full Time MBA」コースに留学中。
東京理科大学理工学部を卒業した後、大手メーカーに入社し、国内営業を経て、事業企画や海外拠点のマネジメント業務に従事。その後、営業人材の育成と紹介をしている株式会社アルヴァスデザインに入社し、新規開拓の営業、教育コンテンツの開発や講師としての登壇、社内の人事制度の立案、ワークショップ会場の設計など多岐にわたって業務に携わる。
皆さん、こんにちは。2022年9月からイギリスのリーズ大学ビジネススクールMBAコースに留学しているIshii Takehiroと申します。
今回は現在MBAコースに在籍している私が、MBAの特徴や留学したからこそ得られたものついて、体験談も踏まえながらお伝えしていきたいと思います。MBAに興味のある方はもちろん、他のビジネス系のコースとMBAのどちらを受講しようか迷っている方もぜひご覧ください。
MBAとは？他のビジネス関連修士コースとは別物！？
MBAとは、Master of Business Administrationのことであり、「経営学修士」と呼ばれる学位です。MBAのコースは通常ビジネススクールにて開講されており、ビジネススクール内ではMBAの他にも経営学（MSc Management）、マーケティング学（MSc Marketing）、人事学（MSc Human Resource）などさまざまなコースが開講されています。では、MBAはこういった他のビジネス修士コースと何が違うのでしょうか。
違い①就労経験が重視される入学条件
MBAコースでは通常のビジネス修士コースで求められる成績条件（大学卒および一定のGPA基準以上）に加えて、「3～5年以上の就労経験」や「一定のマネジメントやリーダーシップ経験」が求められる場合がほとんどです。
実際にリーズ大学のMBAコースでも下記の写真のとおり、3年以上の就労経験（5年以上が望ましい）および3年以上のマネジメント経験が必須となっています。
下記の写真（赤枠内）にも記載がありますが、多くの大学では就労経験やマネジメント経験がない学生は、同じ経営学を学ぶコースで就労経験がない学生向けのコースである、経営学（MSc Management）のコースに挑戦することが推奨されています。
違い②GMATのテストスコアが求められる場合も
イギリスのいくつかのMBAコースではGMAT（Graduate Management Admission Test）という英語力、数学力、分析力などが問われるテストのスコア提出が必須になっています。
すべてのMBAコースで求められるわけではないですが、志望校によってはGMATのテスト対策も別途必要になります。ちなみにリーズ大学のMBAコースでは上記の写真（黄色枠内）に記載されている通り、GMATスコアの提出は必須ではありません。
私が出願した当時は、「出願者によってスコア提出が求められる場合ある」というアナウンスでしたので、仕事と並行して勉強をしていましたが、GMAT対策もそれなりに時間がかかるので、GMATが必須でないコースから出願するコースを決めていくのも一つの方法かもしれません。
違い③書類審査に加えて面接あり
通常のビジネス修士コースでは書類審査のみで合否が出ることがほとんどですが、MBAコースでは多くの場合、書類審査を通過すると面接があります。
この面接では、自身の学歴や職歴の説明に加えて、どのようなキャリアを描きたいのかの説明が求められます。「あなたは、クラスメイトの学びに何を貢献できるのか？」「あなたが、アカデミックに研究したいことは何？」「仕事を中断してまでMBAで学びたいのはなぜ？」ということを深く問われます。大学側は実践的な学びを提供すると共に、クラスメイト同士でも実務を活かした学びが生まれるような環境作りを意識しているのです。
面接時間は30～45分ほどですが、事前に自己分析を深くすることはもちろんのこと、面接官から想定される質問の答えも準備しておくと良いでしょう。
面接の詳しい内容や対策については別途ブログにまとめたいと思います。
違い④実践重視のコース内容
多くのMBAのコースでは必修科目としてビジネスプロジェクトがコースに組み込まれており、実在する企業に対してコンサルティングを行ったりなど、実務ですぐに使える実践的な学びを得ることができます。MBA以外のビジネス関連修士コースではこのような必修科目がないコースも多いので、こちらはMBAならではの魅力かと思います。
実際にリーズのMBAのコースでは、地元のIT会社や食品会社、または劇場やホールの集客支援の案件もあります。加えて、世界的な大企業のヨーロッパ支部のコンサル案件もありました。
違い⑤コースの授業料
イギリスのビジネス関連修士コースの授業料の平均は300～400万円ですが、MBAコースとなると400～800万円とコースによって開きがあるものの、他のビジネスコースよりも高額になるケースがほとんどです。
実際にリーズ大学のMSc Managementのコースは£27,500（約440万円）のところ、MBAのコースは£33,000（約528万円）となっています。
違い⑥クラスメイトの年齢層
上記の入学条件をクリアしている学生が集まるので、MBAのコースには大学を卒業してそのまま入学している人はほとんどいません。実際に私のクラスメイトも30代前半が多く、平均10年弱の職歴を持っている学生が多いです。
リーズ大学のMBA以外のビジネス関連修士コースに通う友人に聞いたところ、クラスメイトのほとんどが大学を卒業してすぐにマスターコースに入学しているため、インターンシップを除き就業経験がない方が大半とのことでした。
MBA留学の価値、留学したからこそ得られたものとは？
MBAは他のビジネスコースに比べて入学条件も厳しく、授業料も高額です。また現在MBAは日本国内でも取得可能ですし、実務で活かせる学びはMBAに限らずさまざまな機会で会得することもできます。そのため皆さんの中には、「キャリアをストップさせてまでMBAで学ぶ価値はあるの？」「コストに見合うリターンはあるの？」「国内のMBAで十分じゃない？」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ここで私がMBA留学をしたからこそ得られた3つのものについてご紹介します。
①世界的な人的ネットワーク
海外のビジネススクール、特に留学生に人気の高いイギリスには世界中から学ぶ意欲の高い学生が集まります。実際に現在私のクラスメイトは、アメリカ、メキシコ、ドミニカ、タイ、インド、中国など国際色豊かです。
そしてこういったクラスメイトとの関係は友人関係にとどまらず、将来のビジネスパートナー候補にもなります。
授業でクラスメイトとの深いディスカッションを通して、お互いの専門性や強み、そして文化や価値観なども共有し合うことができるので、今では「○○という国にビジネス展開したい場合は、あの人に聞こうかな。」というイメージを持てる国が何個もあります。
②多国籍なメンバーと働くためのマインドセット
リーズ大学のMBAコースでは、1、2学期を通して必修科目としてコンサルティングプロジェクトがあり、多国籍なメンバーと一緒にチームで進めていきます。
実際に私はインド、中国、香港、タイ、ドミニカ、メキシコ出身のメンバーとプロジェクトを実施しました。商習慣が異なるメンバー同士で仕事を進めていくことは大変ですが、多国籍な環境下で仕事を進めていくことを経験できる非常に良い機会となります。
うまくメンバーをまとめられない時はストレスを感じることもありましたが、逆に日本人は、「きっちりしすぎているかも？」と多国籍な学生と時間を共にすることで気づかされたこともありました。
③日本の当たり前が通じない環境下でも発揮できる自分の強み
多国籍メンバーとプロジェクトを進めていく際に、「なんとなく日本ではうまくいっていたこと」が全くうまくいかないことがありました。
日本ではチームワークで仕事をすることが多いため、何も指示しなくてもチーム内で助け合えることが多かったのですが、ジョブ型といって一人ひとりに割り当てられた仕事を遂行することを大切にする文化を持つメンバーは、例えチームの進捗が悪くても自分に割り当てられた仕事ができていれば、ある程度満足する傾向にありました。
私はこの時、自身の強みを見つめ直し、どのようにチームに貢献すればプロジェクトを成功させることができるか必死に考えました。
その結果、私はこれまで数多くのプロジェクトマネジメントをした経験から得た、チームマネジメントスキルという強みを活かし、メンバーが仕事を進めやすいように方向性を示したり、タイムラインを示したりすることを意識して実行することにしました。最終的にはチームの足並みも揃い、私は「日本の当たり前」が通用しない環境下でもチームに貢献できるという感覚をつかむことができました。
読んでくださった皆さまへ
今回はMBAコースの特徴やMBA留学の価値についてまとめました。MBA留学はたしかにコストも時間もかかります。しかし、私は卒業前の現時点においても留学して本当に良かったと感じています。MBAコースでは生涯の友と呼べるクラスメイトに出会え、そのクラスメイトと切磋琢磨しながらグローバルなビジネス経験を積み、改めて自分の強みを見つけることができています。
留学前はフルタイムで仕事をする妻と年中児の息子を日本に残してまで、MBA留学をすべきか真剣に悩みましたが、リーズ大学のMBAコースでしか味わえない「経験」やコースで出会えた「人」の全てが、今後のキャリアに向けてのかけがえのない宝になると思いますし、キャリア形成をする上で私の背中を最も強く押し続けてくれると強く感じています。
今回の私のブログが、MBA留学を悩まれている皆さんの背中を少しでも押すことができていたら幸いです。
リーズ大学について
リーズ大学（University of Leeds）は1904年に設立された大学で、イングランド北部リーズにキャンパスを置きます。QS World University Rankings 2023では、世界TOP100に選出されたイギリス名門大学で、研究部門を強みとするイギリス名門校群「ラッセル・グループ」に所属しています。学生数39,000人以上の大規模校で、137か国から学生が集まる「留学生に人気な大学」としても有名です。特にビジネススクールは三大ビジネススクール認証機関であるAACSB、AMBA、EQUISのすべてからトリプル認証を受け、国内外から注目を集めています。
