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【連載:留学体験談】 サウサンプトン大学工学部で空気力学を学ぶ!⑤余裕ができると思ったセメスター2の実態は?

この記事を書いた人

Kobori Takatoshiさん

2023年9月よりイギリスのサウサンプトン大学修士課程「MSc Aerodynamics and Computationコースに留学中。

皆さんこんにちは。サウサンプトン大学の修士課程で空気力学を専攻しているKoboriです。 

今回はセメスター2で受講した講義について、またセメスター1と2を終えた感想をお伝えします。

セメスター2のスケジュールと講義内容を公開

私の学んでいる修士課程コースでは、セメスター1と2で合計8科目を受講する必要があります。セメスター1では5科目を取得したので、セメスター2は3科目だけ受講していました。時間割を見ていただいたら分かる通り、かなり余裕ができそうと思っていましたが、実際はセメスター1と同じくらい大変でした。

続いて、受講していた3つの科目について簡単に紹介します。

①Computational Aerodynamics(数値空気力学)


流体力学には、CFD(Computational Fluid Dynamics、数値流体力学)という、コンピュータを使って流体に関する方程式を解くことで流体の運動をシミュレーションする分野があります。この講義は、それについて空気を題材にして学ぶものでした。非常に複雑なので、CFDについてすべてを網羅するわけではありませんが、既存の数値解析法の精度や問題点について学んだり、近年広く使われ始めている数値解析法について学習しました。実習では、商用のCFDソフトウェアを使ったグループワークと、自分でプログラムを書いて簡単な流れの解を求めるという実習がありました。

②Experimental Methods of Aerodynamics(空気力学の実験法)

科目名の通り、空気力学の実験方法について学ぶ講義です。空気力、流速や圧力の測定、流れの可視化方法などを、講義と3回の実習を組み合わせて学びます。誤差計算の方法など講義で学習する内容と実習の内容がマッチしているため、学んだことを実際に手を動かして確認できるのは非常に良かったです。ただ、測定結果の分析や誤差計算するためのプログラムをほぼイチから書く必要があったり、レポートでは実験結果から流れを考察したりする必要がありますが、それについてはこの講義では学ばないため、レポートを書く際の調べ物やリーディングがかなり大変でした。

③Wing Aerodynamics(翼の空気力学)

飛行機は翼で揚力を発生させて空を飛んでいます。この講義では、翼が発生させる揚力の理論解の求め方や、流体が物体表面を流れる際にできる境界層という非常に薄い層について学びました。配布されるスライドには理論解を求めるための数式が多く記載されており、ほぼ数学の講義みたいでしたが、学士課程のころに受講していまいち理解できなかった流体力学の基礎知識を深めることができました。また、最終試験ではもちろん計算はありますが、理論を説明させる設問も多く、問題を解くだけではなく、学生が理解しているかを重視している印象でした。

セメスター1と2を振り返ってみて

成績は、各セメスターの最終試験の約1か月後にメールで通知されます。それまで気が気ではなかったですが、無事に単位を落とすことなく講義パートを終えることができました。重いレポートに取り組む度に「もう無理だ……」と思うこともありましたし、イギリスの修士課程は1年間で、夏に再試験のチャンスがあるとはいえ、来年取り返せばいいという考えはできないので、プレッシャーは大きかったです。

しかし、興味のある空気力学に絞って学べたことで、頭に残ることは多かったですし、苦労したからこそ得た学びは非常に多かったです。 

終わりに

今回はセメスター2の講義内容と感想をお伝えしました。セメスター2の最終試験後には、学部が「テストお疲れさまピザパーティー」を開催してくれ、途中で脱落することなくやり切れた達成感を友人と味わいながら楽しみました。

大変なことも多いですが、やはりイギリスの大学院では専門分野を絞って学べるという点が非常にメリットが大きいと思います。空気力学を学びたいという方は多くはないかもしれませんが、少しでも参考になれば幸いです! 


サウサンプトン大学について

サウサンプトン大学(University of Southampton)はイギリスの名門大学群のラッセルグループに所属する大学。イングランド南部の海沿いの街、サウサンプトンに位置し、立地を生かした海事学や工学、理系科目では特に高い評価を得ています。同大学のキャリアセンターでは学生の起業を積極的に支援し、UBI Globalによるランキングでは新規事業の立ち上げに最も貢献したイギリスの大学に選ばれています。