大河内 洋介(おおこうち・ようすけ)さん
2021年秋からイギリスのエジンバラ大学ビジネススクール修士課程マネジメントコース「MSc in Management」に留学中。
エジンバラ大学へ留学中の大河内さんからのリアルな留学体験談を連載でお届けします! 今回は、『真白なキャンバス』というタイトルで、エジンバラの現地生活情報と冬休みの過ごし方について詳しくお伝えします。 大学院留学をご検討中の方やエジンバラ大学に興味がある方はぜひお読みください。
現地から留学体験レポートをお届けします!
皆さん、こんにちは。7月からエジンバラ大学ビジネススクールに留学している大河内洋介です。本年も留学をお考えの皆さんにとってご参考になる情報をお届けしたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。大学は12月下旬から1月中旬まで冬休みでした。今年はオミクロン株の感染が拡大する状況でしたので、あまり人と会ったり海外に出掛けたりはせずに、興味のある本を読んだり街歩きをしたりしながら過ごしていました。今回は、エジンバラでの普段の生活の様子や大学院生としての冬休みの過ごし方についてお伝えしたいと思います。
基本的に日用品は何でも揃う環境
エジンバラはスコットランドの首都ですが、ロンドンやバーミンガムのような大都市とは異なり非常にコンパクトで、生活に必要なものは街のメインストリートを歩けば基本的に手に入ります。また、私は民間企業が経営する学生寮に滞在していますが、Amazon等のネットショップで注文したものは受付の方が受け取って教えてくださるので、こちらも全く不自由はありません。日本との違いで言うと、気軽に入れる定食屋や牛丼チェーンなどはないので、外食はそれなりに支出がかさみます。また、コンビニというものはなく、生活に必要な食材や日用品はスーパーに行く必要があります。ただ、慣れてしまえばそれほど不便を感じることはないので、生活面で心配することは少ないように思います。
防犯の点では、イギリスは銃刀所持に関する規制が厳しいので、その点は日本と同じ感覚で生活できると思います。ただし、エジンバラの中にも治安の悪い地域はあるので、その点はきちんと情報を得たうえで間違って近づくことのないようにしないといけません。このように言う私は、一度迷子になってやや危険な地域に行ってしまいました。週末の昼だったので、特に怖い経験をすることはありませんでしたが、今にして思うと街並みの様子はなんとなく暗い雰囲気だったのを覚えています。
個人的な印象ですが、スコットランドの皆さんは初対面の外国人にも親しみを持って接してくださるように感じています。スーパーや雑貨屋で買い物をする際にも、店員の方とちょっとした雑談をすることは普通ですし、ジョークを言って笑わせてくださることもあります。渡航前に心配していたスコットランド英語については、確かに自分の英語力が低くて聞き取れないことはありますが、分からないことを正直に伝えれば何度でも話してくださるので、その点も心配はいらないと思います。同じ人間として誠意をもって接していれば、特に困ることはないと思いますよ。
国籍豊かな友人との楽しい冬休み
冬休み期間中は、エジンバラに残っていた友人と数回だけですが外出しました。香港出身の友人が香港料理のおいしい店に連れて行ってくれた際には、初めて鉄道を利用しました。ターミナル駅であるウェイバリー駅から出発しましたが、日本のように改札がないことには驚きました。どうやら車内で乗車券の確認を受けることがあるようなのですが、私の場合はそれすらなく、到着したのも無人駅だったので狐につままれたような思いでした。なお、切符はアプリで購入できますが、方法がよく分からなかったので香港の友人がついでに買っておいてくれました。
香港料理の店では、1人20ポンド(約3,000円)でお腹いっぱいになるまで色々な料理をいただくことができました。日本で食べる中華料理よりも薄味で、食べ物によっては経験したことのない食感のものもありました。ただ、香港の友人が1つずつどういう料理か、どういう食べ方をするものなのか説明してくれたのでなかなか興味深い経験になりました。今度は日本料理の店に行こうと約束したので、私の腕の見せ所ですね。食を通じた文化交流は、人との距離を縮めるうえでも相手の国を理解するうえでも非常に役立つものと実感しました。
また、クリスマスの少し前にはイタリアの友人がホームパーティーを開いてくれました。手作りのパスタを振る舞ってくれたのですが、普段食べているスーパーのものとはもちろん全く違って、大変美味しくいただきました。本来であれば私も肉じゃがの一つでも作れれば喜ばれるんだろうなあと思いつつ、ほとんど料理ができないので、その点は歯がゆい思いをしています。料理でなくてもアニメでも観光地でも良いので、日本という国をイメージしてもらえる話題は英語で正確に伝えられるようにしておいた方が仲間を作りやすいと思います。
自分の力で毎日を面白くする
約1ヶ月の冬休みは、図書館や寮で興味のある本を読む時間が比較的長かったです。学部時代に読めなかった古典や歴史書などを電子書籍で読んでいました。これまで考えたことのなかったことを検討したり視野が広がったりと、それはそれで面白かったのですが、やや退屈だったというのが正直な感想です。仕事を離れて自由に使える時間が増えた分、自分の力でスケジュールを埋めて経験値を増やすべく動くことはとても大切であると学びました。
確かに異国で生活をするだけでも十分良い経験にはなりますが、基本的に何もしないと外国に住むことに慣れて英語をそれなりに話せるようになっておしまいということになりかねません。この留学を通じてこれを確実につかむという意思や戦略を確実に持っておくことで、空いた時間の充実度は確実に変わるものと身をもって知りました。
1学期の授業を振り返ってみても、ためになる話を聞いて知識を得ることは確かにできましたが、留学当初に思い描いていた水準には達していないというのが正直なところです。その反省を踏まえて2学期は気になることはとことん理解を深めようと、すでに数名の先生の部屋にお邪魔して議論に付き合っていただいています。修士論文執筆の文脈では、コース主任の先生からはとにかく色々な先生方からアドバイスを受けるようにという指導をいただきました。現状と理想の隔たりを常に把握して、できることは全部取り組むという姿勢が、納得感のある留学生活につながると思います。
読んでくださった皆さまへ
今回はエジンバラでの生活の様子と冬休みに感じたことを中心にお伝えしました。大学は様々な留学の動機や目標の中で選ばれるかと思いますが、環境が何かを与えてくれることはほとんどないと感じています。真白なキャンバスに、どのように自分なりの絵を描くか。ぜひ、今後留学される皆様には、渡航前にやりたいことリストを充実させて、彩りのある留学生活を送っていただけたら幸いです。
近況として、先日行ってきた博物館の様子をご共有します。美術館に行くつもりで“museum”に行ったところ、なぜか入館してからいつまで経っても絵が出てこず。よくよく確認したところ、美術館は“gallery”というそうで。英語の勉強をもっと頑張ろうと思いました。
エジンバラ大学について
エジンバラ大学(The University of Edinburgh)は1583年に設立された歴史のある大学で、スコットランドの首都エジンバラにキャンパスを置きます。QS World University Rankings 2022では、世界16位に選出されたイギリス名門大学で、自然科学の分野でスコットランド最大規模の学部を有しています。同大学では300以上のコースが提供され、なかでも会計学、考古学、経営学、英語・英文学、工学、哲学、心理学などの25分野で高い評価を得ています。留学生の数も多く、国際色豊かな環境で学習することができます。コースは、教育水準がイギリス最高レベルと認識されている言語学や、100年以上の歴史を誇るスクールで学ぶMBA(経営学修士)、国際・ヨーロッパ政治、環境と開発などが支持を得ています。