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【連載:留学体験談】アメリカ留学経験者が開発経済学を学びに本場イギリスへ!⑤イギリスで拡大するストライキ、授業や学生生活への影響は?

Ishii Ryunosukeさん

2022年9月からイギリスのSOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院(ロンドン大学)修士課程「MSc Development Economicsに留学中。

SOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院(ロンドン大学)へ留学中のIshiiさんからのリアルな留学体験談を連載でお届けします!

今回は、日本のニュースでも頻繁に取り上げられているイギリスのストライキ事情についてお伝えいただきます。

大学院留学をご検討中の方やSOASに興味のある方はぜひお読みください。

現地から留学体験レポートをお届けします!

皆さん、こんにちは。日本では寒波が到来し、関東でも氷点下近くになる日もあったそうですが、今年のロンドンは暖かく、日中は平均で10度以上になる日が続きとても過ごしやすいです。大学までの道を心地よく歩いていたこの頃ですが、大学側からストライキのアナウンスがあり、個人的にも色々と学べたことがあるので、本日はイギリスのストライキ事情についてお伝えできればと思います。

日本のニュースでも報道されるイギリスのストライキの現状は?

イギリスのストライキは日本でも報道されていることもあり、留学前に大変不安に思っている方もいらっしゃると思いますが、この機会に現在のロンドンの現状をしっかりと知っていただくことで少しでも不安がなくなれば良いなと考えています。

まず以下の写真を見ていだければと思います。1枚目は2022年12月のストライキ予定で2枚目は2023年2月のストライキ予定です。ご覧いただくとわかるように日本に住む方々には想像もできないような日程と幅広い業種でストライキを行っていることがわかると思います。

 

背景には、近年の経済・政治情勢によって引き起こされている物価上昇に追いつかない賃上げに対し、イギリス国民(特に都市部の住民)は非常に生活に困っており、ストライキを行使してでも賃上げを要求しているということがあります。

また、カレンダーを見ていただくとわかるように交通機関や医療機関までもがストライキを行っています。日本のニュースでも市民の日常生活にも影響が出ていると報じられていたと思います。

ただ個人的には日常生活にそこまで影響はないと感じています。ここからは実際の留学生活のイメージをより理解していただくためにも、ストライキによる生活への影響についてお話しできればと思います。

日常生活にはほとんど影響なし?

まず、交通機関ですが、ロンドンは中心部を走る地下鉄と、郊外まで伸びている地上列車があります。ストライキを行うのは基本的に地上列車だけで、地下鉄は平常通り動くことがほとんどです。そのため、ロンドン市内の大学に通っている学生は特に影響はないでしょう。

ただ、ケンブリッジやマンチェスターなどの郊外の大学に通っており、週末ロンドンに遊びに来ようと思っていたという方々は、ストライキの影響で便数などが減っている可能性があるので事前に確認する方が良いでしょう。その場合にはバスなど代替手段がある場合が多いので、そちらも確認すると良いと思います。

次に郵便や医療機関ですが、こちらに関しては交通機関に比べるとストライキが行われる日数が少ないので、普段から頻繁に利用する方以外は特に問題ないと思います。自分はロンドンに来てからどちらも一度も利用してないので、全く問題ありませんでした。

ここまでを簡単にまとめると、カレンダー上では多くのストライキが行われており、社会的に非常に重要な問題ではありますが、基本的な生活を送る上で大変な困難が伴うことは個人的にはほとんどありませんでした。

ストライキの影響について

ストライキは大学でも行われています。これに関してはこれから留学をされる方が一番気になっていると思いますし、個人的にも最も影響を受けているので詳しくお伝えできればと思います。

まず大学のストライキは全日数がまとめて行われることはなく、バラバラに出来るだけ曜日が被らず、特定の授業だけ多く無くなることを避けたスケジュールとなっています。例えば前期は3日間ほどストライキが行われましたが、10月に1回、11月に2回と月も分かれていたので、特に影響はありませんでした。むしろ溜まっているリーディングを集中的にこなす機会や、いつも勉強で潰れている土日の代わりにロンドン観光ができて気分転換になるなど、プラスに働いたイメージもあります。

ストライキに参加する教授の授業は基本的に休講となりますが、教授によっては去年の授業の録画を公開したり、スライドを公開したりなどの代替措置をとってくれます。またどの教授も休講となった日はリーディンググループを作り、自主学習をすることを薦めます。実際に自分もいくつかの授業でのディスカッションは教授抜きでオンラインで行い、ストライキ終了後に教授に報告するという形になり、他の授業では友人とリーディングの報告会を行うことにしました。

対面の授業で得られることは非常に多く、授業が無くなるのは残念ですが、個人的にはほとんどの勉強時間はディスカッションの準備や課題の準備に充てているので、ディスカッションは学生だけですが普段通り行い、授業時間分もしっかりとリーディングができるので学習時間としては変わらないのかなと思いました。むしろ、授業なしでトピックの理解をしなければいけないためリーディングなどはより幅広く読まなければならず、良い機会になるのではないかなと思っています。

▲ストライキ中にクラスで回ったメール

自分はこの機会を使い、イギリス北部にいる友人の自宅に数日間泊まることにして、そこでリーディングや課題を進めました。環境を変えて勉強すると、リフレッシュできますし、ロンドン以外の都市について知ることができた良い機会になりました。

一つ重要なこととして、ストライキの対応も大学や教授によって異なるということがあります。SOASでは基本的にどの学部も同様にストライキを行うという話を聞きますが、違う大学では半分くらいの授業はストライキ期間でも行われると聞きました。しっかりと教授からのアナウンスを聞き、どのような対応が取られるのかしっかりと把握しましょう。

▲マンチェスターで撮った写真

▲リバプールで撮った写真①

▲リバプールで撮った写真②

読んでくださった皆さまへ

ストライキの受け止め方は人それぞれだと思います。個人的には、これもイギリスの大学だからこそ考えられる問題で、工夫力が生きる留学の醍醐味だと考えていますが、人によっては貴重な留学経験なのにもったいないと思う方もいるでしょう。大学のバックグランドや雰囲気などによってストライキの対応は異なります。ストライキで授業が潰れるのを避けたいという方は、すでに志望する大学に留学している先輩などから話を聞き、ストライキに対する大学の対応などを質問してみると良いかもしれません。

ちなみに先日USU(イギリスの大学労働組合)が大学側との交渉に一旦区切りがついたという連絡が入り、来週から予定していたストライキが中止になりました。突然のことだったので、驚きましたが授業が再開するという嬉しいお知らせでした。交渉のための一時停止ということで、全てのストライキがなくなった訳ではないですが、ひとまず安心しました。

SOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院(ロンドン大学)について

SOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院(ロンドン大学)は、その名が示す通り、アジア・アフリカ分野を特化した高等研究機関で、多くの大学ランキングで世界トップ級の評価を得ています。教鞭を執る教師陣の多くは各分野を最先端で研究する専門家。キャンパスは大都市ロンドンの中心にあり、英国博物館も目と鼻の先というロケーション。学内の施設で特徴的なものは、なんといってもアジア・アフリカ研究で世界有数の図書館。蔵書数が150万冊を超え、専門学習には最適な環境が整っています。