\先輩紹介/
Ando Sumiyaさん
大学院留学 イギリス
留学先 | ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)(University College London (UCL), University of London) |
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コース | MSc Chemical Research |
期間 | 2020年9月~2021年8月 |
現在のご職業 | 博士学生(化学) |
Q1.自己紹介をお願いします。
自分の研究分野において、世界のトップを走っている国の1つであるイギリスで研究をしてみたいと考え、UCLの修士課程に進学しました。心からおすすめできる大学ですので、ぜひ参考にしてみてください。
Q2.今回の留学で得た、一番の宝物は何ですか?
留学を通して自分の長所を深く理解することが出来たことです。留学はやはり普段の日本での生活とは異なり、慣れないことやハプニングの連続です。それは大学の授業や研究となると特に顕著で、慣れない言語で知らないテーマで研究するとなると、最初は本当に何もかもが思うように行きませんでした。それでも、ああでもない、こうでもない、と色々なことを試しているうちに、自分にはどういうやり方が向いているのかが、何となくわかってくるようになりました。それは日本に戻ってからも役立っていますし、何より「自分のこの部分はどこに行っても通用するんだ」という強い自信にもなりました。
Q3.実際に進学して、国・大学のイメージは変わりましたか?理由もお聞かせください。
ロンドンは思っていた以上に「人種のるつぼ」でした。多民族国家といえばアメリカのイメージですが、ロンドンも今やイギリスルーツのイギリス人の割合が半分を切ったとされています。「ずっとイギリス人だと思っていた同僚が実はイタリア出身でびっくりした」なんて話も耳にし、それくらい色々な民族・文化が共生しています。とはいえ良いことばかりかというとそうではなく、元のイギリス文化とは完全に断絶された、特定民族だけが集まるお店やエリアを目にすると、「ここはいったいどこの国なんだろう?」と思うこともあり、多文化社会の良い面と難しい面との両方を考えさせられました。
Q4.現地で生活環境を整えるにあたって役立ったものや苦労したことはありますか?
<役立ったもの>
生活環境を整えるにあたって最も役に立ったのは、UniKitOutというサービスです。事前に生活用品(シーツからキッチン用品まで幅広く)を購入しておくと、渡航前に学生寮に届けておいてもらえるサービスで、留学初日から通常の生活を始められました。<苦労したこと>
私の場合、イギリスの滞在許可証であるBRPカードを大学から受け取る形になっていたのですが、その際パスポートへの入国スタンプ提示が求められました。日本人は基本スタンプ無しで入国可能なので、空港で事情を説明してスタンプを貰うのに苦労しました。
Q5.留学中に困ったことやヒヤッとしたエピソードはありますか?
まだまだコロナ禍全盛期であったにも関わらず、帰国直前に高熱が出てしまったことです。コロナには感染しないよう細心の注意を払っていたのですが、修士論文を提出した翌日から体調を崩し、帰国までも日が無かったためメチャメチャ焦りました。結局熱は治まり、検査も陰性で、後から思えばストレスから解放されたことによる不調だったのだと思いますが、逆に留学中それほどストレスがかかっていたことの裏返しでもあると思います。自分は気になっていなくても、どうしても慣れない環境で多少のストレスはかかると思いますので、体調を崩さないよう気をつけながら、気分転換なども取り入れていただければと思います。
Q6.留学資金はどのように工面しましたか?現地での節約術などあれば教えてください。
留学資金については、私はイノアック国際教育振興財団より奨学金の支援をいただくことが出来ました。
節約術ですが、日本の調味料を買う際にわざわざ日本食品専門店に行くのではなく、アジア系スーパーや現地スーパーで購入することです。特にイギリスでは近年日本食が広まって来ていることもあり、現地のスーパーでも基本的な調味料 (醤油、味噌、インスタント麺など)を扱っているところもあって、安く日本の味を味わうことが出来ます。
Q7.大学のサポートサービスでよかったものや役立ったものについて教えてください。
UCLでは、学生(特に留学生)に対するメンタルヘルスケアが非常に充実しており、これは世界中から留学生が集まる大学だからこそなのだろうと思います。まず学生には必ず1人チューターとなる先生がつきます。これは卒業研究の指導教官の先生とは全く別で、各学期に1回ずつくらいの頻度で面談を行います。普段ほとんど関わりの無い先生だからこそ遠慮なく個人的な相談をすることができます。
また、「Silver Cloud」と呼ばれるメンタルケアウェブサービスも導入されており、学生は無料で「認知行動療法」「マインドフルネス」「不安症」「不眠症」「生活習慣」などの講座を受講することが出来ました。留学前は一流大学を目指せば目指すほどついていけるか不安になりましたが、むしろ一流大学であればあるほど、学生が振り落とされないような仕組みが整っていると感じました。
Q8.就職活動において、卒業された大学院名が影響したと思われますか。
就職活動とはまた違いますが、私は博士課程に進学する際、日本学術振興会の特別研究員に申し込み、採用されました。それまで論文執筆や学会発表などの経験が少ない中で採用いただけたのは、海外進学を実行するだけのモチベーションや、そこで得た研究能力、またクリティカルシンキングスキルや英語力などをご評価いただけた部分も大きいと感じています。
Q9.最後にUCLはどのような方におすすめですか?クラスメイトなどを見て感じた「校風」や「特徴」などがあれば教えてください。
UCLは、イギリスで初めて性差・宗教・人種による入学差別を撤廃した非常にオープンな大学であり、その文化は今でも根付いていて世界中から留学生が集まっています。UCLに留学することで、イギリス人だけではない、世界の同世代の学生と親睦を深めることが可能だと考えます。また、そのオープンな校風から、幕末期に多くの日本人の留学を受け入れており、その中には初代内閣総理大臣である伊藤博文も含まれます。UCLはそのことを非常に誇りに思っており、大学内にはいたるところに日本に関連するモニュメントがあります。そういった日本の歴史に繋がる場所で学ぶことが出来ることは、非常に心揺さぶられる経験になりました。
▲日本に関連するモニュメントその①
▲日本に関連するモニュメントその②
留学先で撮った写真
▲UCLのメインビルディング
▲キャンパス内のカフェ
▲図書館の一角
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)(University College London (UCL), University of London)はオックスフォード、ケンブリッジに次ぐイギリス内でも3番目に古い大学として有名ですが、それ以外にも、イギリスで初めて女子学生を受け入れた大学、また法学・建築学・薬学の各分野において体系的な教授を始めた大学、学生による学生のための組織『Student Union』が初めてつくられた大学としても知られています。創立当初から国籍・宗教などの分け隔てなく入学を認めており、長い歴史を誇りながらも常に新しい取り組みを続けています。