Yoshida Daikiさん
2021年9月からイギリスのリーズ大学修士課程「Professional Language and Intercultural Studies MA」に入学。2022年9月に同コース卒業後、6月よりアルバイト勤務していたイギリス現地の法律事務所にて翻訳者として従事。
リーズ大学を卒業されたYoshidaさんからのリアルな留学体験談を連載でお届けします!
今回は、卒業後にイギリスの法律事務所でJapan Team Assistantとして働く吉田さんに現地就職に向けて行った企業研究、書類や面接の準備方法についてお伝えいただきます。
大学院留学をご検討中の方やイギリスでの現地就職について知りたい方はぜひお読みください。
現地から留学体験レポートをお届けします!
皆さん、こんにちは。今回は前回の記事に引き続き、イギリスで現地就職したい方向けに、企業研究や書類作成の方法、面接対策について解説したいと思います。
企業研究の方法
企業研究とは、これから受ける会社や業界について予めリサーチをすることを指します。イギリスで就職活動をする場合も、前もって受ける会社について調べる必要があります。基本的な情報ですが、企業研究の際は以下のポイントを踏まえながらチェックしていくことをおすすめします。
企業研究の際におさえるポイント
- 会社の事業内容
- 会社の所在地
- 会社の歴史や過去の重要なポイント
- 顧客・取引先相手
- どこで、どのようなマーケットで事業を展開しているか
- 会社の競合相手
- いつ、どのように会社が成長しているか
- 過去1~2年間の大きなニュース:新製品発売、コロナの影響、M&Aなど
- 競合他社と比較し、何を差別化しているか
- 社風や会社の価値観を知る:人事方針を確認する
またイギリス企業の研究をする際は、就活用ソーシャルメディアLinkedInを活用にするようにしましょう。実際イギリスの多くの企業は、LinkedInを通じて採用情報や求人広告を出している場合が多いです。現地就職を希望する際は、ぜひご自身のアカウントを作成しましょう。
さらにイギリスの大手メディア、BBC、Financial Timesなどのオンライン記事や経済紙、Spotifyで聞けるポットキャストでも有益な情報を集めることが出来ます。企業研究の際に、これらの媒体もカバーできるといいでしょう。
書類審査について
イギリスの会社に応募する際に求められる書類は主に3つ、CV(履歴書)、Cover letter(志望動機書)、Reference letter(推薦状)です。今回は自分で内容を作成する必要があるCVとCover Letterについて詳しく説明します。
・CV
CVは採用担当者に自分のスキルや経歴を伝えるための資料です。分かりやすく作成し採用者の目に留まるようなものを作成する必要があります。また日本語で履歴書と説明されることから、CVは今までの自分の職歴や学歴をまとめたものに思われるかもしれませんが、海外では少し違っています。
CVは自分のスキルや経験がいかに応募先にマッチしているかを証明する資料なので、採用担当者が求めていそうなスキルや経験を記述する必要があります。同じCVを使いまわして海外で就活をする人がいますが、これは有効ではありません。応募先ごとにカスタマイズする必要があります。
またこれまで経験してきた仕事内容を単に列挙してしまう人もよくいますが、これもあまりおすすめしません。具体的な成果や前職でどのような影響を及ぼしてきたのかを強調しましょう。まだ働いたことが無い学生の場合、大学の科目の成績を記載することも一つの手です。
・Cover letter
CVを提出する際にCover letterも一緒に提出する必要があります。こちらもCVと同じように、応募先ごとに内容をカスタマイズしましょう。どこの企業にも送れるような画一的な内容は、会社側にもばれている可能性が高いです。そのポジションに応募する動機と、どうして自分がそのポジションに適しているのかをまとめましょう。またCover letterはCVで注目してほしい経歴を伝える役割もありますので、CVが完成した後にこちらを作成するとスムーズです。文字数はA4片面のみで問題ありません。
面接の種類
就職活動において最大の壁となる面接ですが、基本的な形式は日本と同じです。イギリス企業も通常2~3回ほど面接を行います。面接にも様々な種類ありますが、日本でよく見かけるグループ面接はイギリスではあまりメジャーではないように感じます。イギリスの就活で一般的な面接の種類は以下の通りです。
対面面接
いわゆる通常の面接で、コロナ後の現在においても、最も一般的な面接形式です。実際にオフィスに行き、1対1、もしくは1対2で採用担当者と話します。対面面接の時間は通常、45分~2時間くらいです。私の場合は、私自身に関する質問を30分程度と仕事内容に関する説明が1時間の計90分でした。
電話面接
ビデオ面接は、いわゆるオンライン面接と録画したものを送るパターンの2種類があります。こちらも30分程度で終わることが多いです。日本と同様に、オンライン面接はZoomやTeamsなどを使って実施されます。
また就活でよく悩むことの一つに、面接時の服装があると思います。特にイギリスの企業は、職場でカジュアルな恰好を推奨している場合が多いので、面接時における服装はとっても悩ましい問題です。面接時のドレスコードは、会社の規模や業界、社風によっても変わります。ただ前提としてスマートな服装(スーツ、ビジネスカジュアル)を着ていけば問題ありません。それでも不安を感じる場合は、直接企業に問い合わせみるのも良いでしょう。
ビデオ面接
応募者があまりに多い場合、選考プロセスの初期段階で応募者を選別するために、電話面接をする企業もあります。通常30分ほどの所要時間で、電話越しに面接をします。通過した人は後日、対面式の面接やアセスメントセンター(適性検査)に呼ばれます。
面接でよく聞かれる質問
面接でよく聞かれる質問に関しても、日本の面接と大きな違いはありません。私がイギリスの会社を受けた際に高確率で聞かれた質問について、5つ解説します
自己紹介をお願いします。
面接で最初に聞かれる質問です。自分の経歴やスキル、特徴などを完結に表現し、これらのポイントが応募先の仕事内容にどのように結びついているのか説明しましょう。まだ学生で特に話せる経験が無い場合、自分が努力した大学での勉強について焦点を当てることも問題ありません。その場合であっても、大学での学問と応募先の仕事内容がどのように関連するのか、話せるようにしておきましょう。
なぜここで働きたいのですか。
応募するきっかけとなった体験や興味を説明し、仕事内容との関連性を示しましょう。大学での勉強や課外活動の中で感じた興味と、応募先の仕事内容で惹かれた部分を繋げることで説得力を持たせることが出来ます。
困難な状況に直面したときどのように対処しますか。
このような質問は特に、選考プロセスの初めの方で聞かれるタイプです。この質問を通じて採用担当者は、プレッシャーの中でもどれだけ物事を冷静に対処できるかを評価します。留学生であれば、困難な状況を数多く経験すると思うので、話題には困らないかと思います。いくつか例を予め決めておき、どのように対応したのかを話せるようにしましょう。
あなたの目標を教えてください。
この質問はではより大きな目標を持っていることを堂々とアピールしましょう。これまでの経験やスキルに基づいて、現実的な短期目標と長期目標を話せると良いです。なお注意点として、あくまでも応募している仕事内容と会社のビジョンに関するものでないといけません。目標を達成するために、なぜこの仕事が必要なのか、自分の目標が組織にどのような影響を与えるのか考えてみましょう。
最後に質問はありますか。
こちらは日本でも一般的な逆質問ですが、イギリスでも同様によく聞かれます。何も聞かず面接を終了してしまうと印象が悪くなるので、予め聞く質問を用意することをおすすめします。
面接後は、採用担当者にメールでお礼することを忘れないようにしましょう。応募先に対するモチベーションを書き、感謝の気持ちを述べましょう。また不合格であっても、面接に対するフィードバックを貰える場合は、遠慮せずに聞きましょう。次回に向けた改善点を知ることが出来ます。
最終的な就職先の決定
複数回の面接後、無事にジョブオファー(内定)を貰うことが出来れば、署名をして正式に内定が決まります。オファーの内容をきちんと確認し、仕事内容や給料、働き方等についてよく確認しましょう。また希望すれば、内定が出される前にオフィスツアーや社内イベントに参加することも出来るので、気になる方はぜひ採用担当者に連絡しましょう。
読んでくださった皆さまへ
今回はイギリスでの就職活動の実践的な内容についてお伝えしました。イギリスでの就活と聞くと、ハードルが高いように感じるかもしれませんが、対策方法は日本とほぼ同じです。きちんと準備をすれば内定を得ることが出来ますので、イギリスで働いている姿を想像し、現地就職という夢を叶えてくださいね!
リーズ大学について
リーズ大学(University of Leeds)は1904年に設立された大学で、イングランド北部リーズにキャンパスを置きます。QS World University Rankings 2023では、世界TOP100に選出されたイギリス名門大学で、研究部門を強みとするイギリス名門校群「ラッセル・グループ」に所属しています。学生数39,000人以上の大規模校で、137か国から学生が集まる「留学生に人気な大学」としても有名です。分野は翻訳・通訳学に特に権威があり、イギリス国内で数校のみ開講している「日英翻訳」に特化した科目が人気を集め、これまでに多くの日本人留学生を受け入れてきました。
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