大河内 洋介(おおこうち・ようすけ)さん
2021年秋からイギリスのエジンバラ大学ビジネススクール修士課程マネジメントコース「MSc in Management」に留学中。
エジンバラ大学へ留学中の大河内さんからのリアルな留学体験談を連載でお届けします!
今回は、『ストーリーを描く』というタイトルで、個人課題作成のコツについて詳しくお伝えします。
大学院留学をご検討中の方やエジンバラ大学に興味がある方はぜひお読みください。
現地から留学体験レポートをお届けします!
皆さん、こんにちは。昨年7月からエジンバラ大学ビジネススクールに留学している大河内洋介です。先日2学期のすべての提出課題が終わり、残すは修士論文のみとなりました。今回は1年間を通じて個人課題とどのように向き合ってきたか、皆さんの留学時にどのように取り組まれると良いかのアドバイスを中心にお伝えします。
課題の内容ごとに時間を見積もって取り組む
まずは個人課題の流れをお伝えします。たいていは各科目の初回講義で、課題のテーマや制限字数、提出期限などが説明されます。その後、学期中の講義の中でより詳しい内容の説明があったり、先生によっては1対1でのミーティングなどを設けてくれたりします。それ以外にもメールでの相談は随時受け付けられていて、そういった機会を使って少しずつ仕上げていくことになります。
各科目で課された課題は以下の通りです。大きくリフレクティブエッセイ、ケーススタディ、テーマ研究の3パターンに分かれます。なお、企業のケースについては不要と言われた場合以外は内容に盛り込む必要がありますが、あらかじめケースが指定されたもののみ「ケーススタディ」として便宜上分類しています。
これは私の所感ですが、難度としてはリフレクティブエッセイが一番取り組みやすく、ケーススタディ、テーマ研究の順に難しくなっていく印象です。リフレクティブエッセイは自分の経験や今後自分がどのように活用するかを論じるため具体と抽象の往復をしやすかったです。また、あらかじめ先生からケーススタディを指定される場合は、きちんとエッセイにまとめられるように講義の中でどのように取り組めばよいか、わりと具体的なアドバイスをもらえます。一番苦戦したのはテーマ研究で、講義の中で細かい説明はありますが、問いの設定から具体的なケース探しまで自分で行わないといけないので、設計段階でかなりの時間を要しました。
与件から逆算して構成を決める
初回講義での課題の説明では、ドキュメントの場合どのようなテーマのものか、分量はどれくらいか等、作成の方向性を決めるのに役立つ情報が得られることが多いです。また、エジンバラ大学内のシステムで、常にアサインメントの概要や採点基準、執筆上必要な情報を閲覧できるので、しっかりと確認する必要があります。
先述のとおり、不明な点は先生にメールをすれば納得いくまで教えてくださいますし、科目によってはオフィスアワーとしてマンツーマンで先生に説明をする機会も設けられます。私も何回も相談に行きましたが、常に質問の根拠が求められました。相談前に自分なりに考え抜いて、何が分からなくて困っているのか、どういうアドバイスが欲しいのかを明確に考えておくことが、限られた相談時間を最大限活用する上で重要です。
私の場合は、まずExcelに与件や構成を書き出して、先生から数回のレビューをいただく方法をとっていました。期待されている方向性に沿ったエッセイを執筆するためです。一例としてサービスマネジメントの設計をお示しします。
なお、細かい話ですが、相談の後にはお礼を兼ねて自分の理解を確認するためのメールを先生に送っていました。こういう理解をしたので、こんなリサーチを進めます、議論の中での決定事項はこれで合っていますよね?などの内容で、間違っていれば返信として理解を矯正していただけるためです。ややずる賢い話にはなりますが、あんまりお礼のメールを送る学生はいないようなので、礼儀正しさをアピールして好感を持っていただくのも良い関係を作るうえでは役立つかもしれません。
とにかく、先生から何がどの程度期待されていて、どのように与件に答えるかをなるべく早く決めることで後の作業の手戻りを少なくすることができます。特に非ネイティブの学生にとっては、英語の論文を読むのも一苦労かと思うので、可能な限り最短距離を進みたいところです。今回は「ストーリーを描く」というタイトルですが、ゴールにたどり着くためにはこんな道筋をたどりそうだ、こんな難しさがありそうでこうやって乗り越えようなどのストーリーを鮮明に描けるかが勝負の分かれ目のように思っています。
個人課題もときには仲間とグループを作って効率よく進める
課題を進めるうえで、名目上はindividual essayとなっているものでも、他の学生と一緒に論点を検討したりデータを集めたりすることは特に禁止されていません。1学期は分析の課題を、2学期はエッセイの構成を友人と一緒に進めました。 1人で寮にこもって作業していると徐々に陰鬱になってきますが、同じ苦労をしている仲間に会うとだいぶ精神的にも安心します。何よりも、同じ課題に回答する以上、ある程度は同じ論文を読んだり分析をしたりしているので、協力できるところは一緒に進めた方がはるかに効率は良いと思います。幸いにも韓国と香港の友人が一緒に取り組んでくれたので、きつい執筆期間もにぎやかに明るく乗り切れました。なお、提出後の打ち上げで大盛り上がりしたことは言うまでもありません。
読んでくださった皆さまへ
今回は個人課題の作成についてお伝えしました。せっかく留学したものの単位を取り損ねて学位を取得できないという最悪の事態を避けるためにも、計画的に進めることが求められます。確かに要求される水準は高く、英語での執筆は大変ですが、そうであるからこそ先生や仲間の力を借りつつ進めたいところです。課題の成功ストーリーを描く上では周囲の助けは必須だと思います。
先日、2学期の全課題が終了した記念に友人たちと中華料理屋に行きました。半分しゃぶしゃぶ、半分焼肉という斬新な提供スタイルのお店です。私以外はみんな食欲旺盛な20代で、同じペースで食べたらお腹を壊しましたが、それも良い思い出ということにしておきます。
エジンバラ大学について
エジンバラ大学(The University of Edinburgh)は1583年に設立された歴史のある大学で、スコットランドの首都エジンバラにキャンパスを置きます。QS World University Rankings 2022では、世界16位に選出されたイギリス名門大学で、自然科学の分野でスコットランド最大規模の学部を有しています。同大学では300以上のコースが提供され、なかでも会計学、考古学、経営学、英語・英文学、工学、哲学、心理学などの25分野で高い評価を得ています。留学生の数も多く、国際色豊かな環境で学習することができます。コースは、教育水準がイギリス最高レベルと認識されている言語学や、100年以上の歴史を誇るスクールで学ぶMBA(経営学修士)、国際・ヨーロッパ政治、環境と開発などが支持を得ています。
過去の留学体験談も合わせてご覧ください
【新連載:留学体験談】大河内洋介さんが語る「30代からのビジネススクール留学体験」①新たな冒険への招待(渡航前~英語準備コース)
【連載:留学体験談】大河内洋介さんが語る「30代からのビジネススクール留学体験」②内なる声に導かれて(履修登録、Welcome Week、授業開始直後の様子)
【連載:留学体験談】大河内洋介さんが語る「30代からのビジネススクール留学体験」③チャレンジの回数(授業、提出課題の様子)
【連載:留学体験談】大河内洋介さんが語る「30代からのビジネススクール留学体験」④異なるものとの調和と共生(事前英語準備コース~1学期終了)
【連載:留学体験談】大河内洋介さんが語る「30代からのビジネススクール留学体験」⑤真白なキャンバス(エジンバラの現地生活情報と冬休みの過ごし方)
【連載:留学体験談】大河内洋介さんが語る「30代からのビジネススクール留学体験」⑥失敗も悔しさも糧にして(2学期開始時の様子)
【連載:留学体験談】大河内洋介さんが語る「30代からのビジネススクール留学体験」⑦正しいこと(2学期の授業、最近の所感)