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【連載:留学体験談】大河内洋介さんが語る「30代からのビジネススクール留学体験」⑪修士コース最後の関門(修士論文執筆の様子について)

大河内 洋介(おおこうち・ようすけ)さん

2021年秋からイギリスのエジンバラ大学ビジネススクール修士課程マネジメントコース「MSc in Managementに留学中。

エジンバラ大学へ留学中の大河内さんからのリアルな留学体験談を連載でお届けします!
今回は、『修士コース最後の関門』というタイトルで、修士論文執筆の様子について詳しくお伝えします。
大学院留学をご検討中の方やエジンバラ大学に興味がある方はぜひお読みください。

現地から留学体験レポートをお届けします!

皆さん、こんにちは。7月からエジンバラ大学ビジネススクールに留学している大河内洋介です。4月にすべての授業と提出課題が終わり、現在は修士論文の執筆をしています。修士論文執筆は大きく、①テーマ選定→②指導教官決定→③Research Ethics(研究倫理書)提出→④執筆・リサーチ・教官との定期ミーティング→⑤提出の5つの流れで取り組みます。現在は④まで進んでいますのでステップごとに状況をお伝えします。

1年間の学びをもとに関心分野を見定めてテーマを決める

①テーマ選定は、多くの学生が最初に苦労する点で、私もテーマの絞り込みにだいぶ時間がかかりました。当初の予定では、サービスマーケティングと組織論を横断的に研究する予定でしたが、取り扱う領域が広範囲にわたりすぎて時間が足りないことから断念しました。結果として「日本の住宅不動産業界のコンサルティングにおけるSERVQUALモデルの有用性について」という形で、非常に限定された分野を扱うことにしました。どの程度限定的かご説明すると、
・対象地域を日本に限定し、
・その中でも住宅不動産業界に限定し、
・なおかつ特定業界に対するコンサルティング活動に限定し、
・さらには、SERVQUALモデルというサービスマーケティングの特定のモデルに絞る、
という具合です。

ここまで絞りこまないと新規性を生めない(先行研究で既に証明されている)、提出期限に間に合わない、制限字数に収まらないという問題が起こります。留学前はもっと広範に色々と研究したかったのですが、コース設計上、3ヶ月間で15,000 wordsのみ執筆することになっているので、現実的な選択をしました。
なお、テーマ設定にあたっては、ビジネススクールのすべての先生に相談に行くことができたので、2学期開始当初から先生方にアポイントメントを取って研究室にお邪魔していました。

ビジネススクールに指導教官の希望と研究倫理書を提出する

②指導教官については、まずは各自が希望する先生を指名することができます。その際には、先生のお名前だけでなく、おおまかな研究の内容や方向性もフォーマットに入力しました。私は希望提出前にある先生に指名する旨をお伝えしていましたが、ビジネススクールの判断で別の教授が割り当てられました。しかも1度もお話ししたことのない先生でしたので、最初はかなり焦りましたが、高い専門性をお持ちで大変に熱心にご指導くださるので、今となっては大満足しています。

③Research Ethicsはデータ収集にあたってどのような活動をするのか、特にどういった点に注意するかなどをフォーマットに沿って提出するものです。エジンバラ大学の場合は倫理委員会があり、提出後には審査にかけられます。研究内容によっては、かなり踏み込んだ個人情報を収集したり、未成年者への協力を仰いだりする必要があるので、そういった際には特に審査は慎重に行われるようです。

指導教官の先生に伴走いただきながら執筆を進める

現在は④執筆の段階におり、これまで2回指導教官の先生とオンライン会議をしました。論文の設計は自分で行うものの、アウトラインを作成して会議でお伝えすれば、大変的確なフィードバックをいただくことができます。英語の論文執筆はそれなりに不安の大きいものでしたが、教授が常に伴走してくださる感覚で、非常に安心して取り組めています。またリサーチは定量分析と定性分析(または両方)に分かれ、テーマに沿って先生と相談しながら決めることになります。私の場合はインタビューを行い、その結果を定性分析することにしました。

いずれの分析も初めてという方も多いかと思いますが、2学期は定量リサーチか定性リサーチのどちらかが必須科目になっており、修士論文執筆期間も大学がリサーチの方法を教えてくれるので、心配はいらないです。ただし、データ収集は執筆の上で大きな壁になります。例えば、定量データの場合はアンケートをどのように収集するのか、定性データの場合はどのように対象者にインタビューするのか等です。私は前職以前のつながりで協力してくださる皆様を見つけることができましたが、これまでのつながりをフル活用するイメージを持っておかれると良いと思います。他の学生は、アンケート収集にあたっては、同じコースの全体メッセージで呼びかけたり、LinkedInでインタビュー対象者を探したりしていました。

図書館をうまく活用しつつ友達と励まし合いながら乗り切る

執筆にあたっては、寮の共用スペースや図書館を活用しています。図書館では何人かの友人も頑張って執筆しているので、進捗を共有しあったり、昼休みには一緒にご飯を食べたりしながら過ごしています。どうしても孤独になりがちな期間ですが、生産性高く取り組める環境と仲間を見つけるのが乗り切るコツだと思います。なお、⑤の提出は8月中旬を予定しています。提出前には2パラグラフまでは指導教官の添削を受けることができるので、大きく期待値から外れた論文にはならないと考えています。

読んでくださった皆さまへ

今回は修士論文の執筆についてお伝えしました。ただ、修士論文とは言っても研究課程の院生(2年コース)が書くようなボリュームは求められないため、卒業レポートくらいの感覚が正しいかもしれません。一方で、執筆期間である3ヶ月間をどのように使うかは学生に委ねられており、修士論文で単位を取れないと学位が授与されないので油断は禁物です(と自分に言い聞かせています)。ほどよいプレッシャーと期待値の正確な理解のもとに進めていただくのが良いと思います。

内容の性質上写真が少なくなってしまったので、先日広場でバーベキューしたときの様子を最後にご共有します。アメリカの独立記念日を祝う名目で、みんなで食材や機材を持ち寄って学生感満載で楽しかったです。5時間も飲食して、最後はみんなで歌ったり踊ったりしていました。

 

 

エジンバラ大学について

エジンバラ大学(The University of Edinburgh)は1583年に設立された歴史のある大学で、スコットランドの首都エジンバラにキャンパスを置きます。QS World University Rankings 2023では、世界15位に選出されたイギリス名門大学で、自然科学の分野でスコットランド最大規模の学部を有しています。同大学では300以上のコースが提供され、なかでも会計学、考古学、経営学、英語・英文学、工学、哲学、心理学などの25分野で高い評価を得ています。留学生の数も多く、国際色豊かな環境で学習することができます。コースは、教育水準がイギリス最高レベルと認識されている言語学や、100年以上の歴史を誇るスクールで学ぶMBA(経営学修士)、国際・ヨーロッパ政治、環境と開発などが支持を得ています。

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