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【連載:留学体験談】アメリカ留学経験者が開発経済学を学びに本場イギリスへ!⑪修士論文作成の進め方~Part2 執筆作業編~

Ishii Ryunosukeさん

2022年9月からイギリスのSOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院(ロンドン大学)修士課程「MSc Development Economicsに留学中。

SOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院(ロンドン大学)へ留学中のIshiiさんからのリアルな留学体験談を連載でお届けします!

今回は、前回に引き続き修士論文の作成についてお話しいただきました。

大学院留学をご検討中の方や大学院生活に興味のある方はぜひお読みください。


皆さん、こんにちは。

前回は修士論文のテーマ決めから教授とのミーティングまでをお伝えしたので、今回は具体的な執筆や校正などについてお話しできればと思います。

修士論文を執筆をする上で押さえておきたいポイント


①文量


大学や学部よって異なると思いますが、私が所属するSOASの経済学部では修士論文は10,000ワードです。おそらく他の多くの方々と同じように、私も10,000ワードのペーパーなど書いたことはなく、入学した時は要項を見てかなり心配していました。しかし入学後3,000~5,000ワード程度のプロジェクトを何度もこなすうちに、10,000ワードは現実的に書ける文量という認識が強くなっていきました。

また、テスト勉強の期間で毎日2,000ワード程度のノートをとるようになり、このペースなら修士論文も問題なくこなすことができそうだなと思うようになりました。

しかし、これだけの文量を書くためには多くのリサーチや統計分析、インタビューなどの事前準備は必須です。決して1週間程度でできるものではないので、前回お話ししたように準備はできる限り早めに始めることをおすすめします。


②執筆に必要な分析


▲ Rというツールで分析を行います

経済学科の場合、修士論文はデータ分析を用いたものが主になります。私の場合も時系列データを使ったモデル分析を行いました。データ分析で苦労したことは事前準備と分析の時間配分です。 闇雲にデータを集めても時間の浪費になってしまうため、先行研究や文献調査を行い必要なデータに目星をつけてから集めるのですが、事前準備に時間をかけすぎてしまうと肝心のデータ収集後の分析時間が少なくなります。 また、修士論文も他の課題と同じですが、過去の研究要約にとどまる論文は、オリジナリティーが無いため非常に悪い評価となってしまいます。

私は教授とのミーティングでも、できるだけ早く分析のフェーズに行った方が良いとアドバイスを受けてしまい、事前準備に時間をかけすぎてしまったと少し反省をしています。

もちろん先行研究をある程度読んでからデータを集めることは必要ですが、自分の分析を早めに行って結果を見てみることも、時間が限られている修士論文の執筆では必要だと感じました。 実際に分析を行ってみると、予想や先行研究と少し異なる結果が出て、再度リサーチの必要が出てくるなど予想以上に時間がかかりました。


③執筆作業の進め方


周りには、長い修士論文を1ヶ月ほどで集中的に書く方も多くいましたが、私の場合はゆっくりと2~3ヶ月くらいかけてイントロダクション、先行研究レビュー、データ、結果、ディスカッションなどパートを分けて書いていきました。

パートごとに時間をかける場合、ストレスが少なく誤字脱字や説明不足の文章などに気づきやすいというメリットがあります。しかしその反面、書いた時期が離れしまうと文章の前後に説明の齟齬が出てきたり、何を書いたか忘れてしまったりするというデメリットもあります。

例えば、先行研究レビューで多く説明したところを最後のディスカッションセクションで繰り返して冗長になってしまったり、全く説明していない用語などを多用してしまったりしました。

私は何度も文献を読み返し、全体の調整をするのに多くの時間を要してしまいましたが、友人は一気に書き上げて、そういった無駄な時間を作らないように工夫をしていたそうです。人それぞれのスタイルがあるとは思いますが、自分はもう少し短期間で効率良く書き上げることもできたかなと少し反省しています。


④できるだけ早めに着手する


▲ 友人との食事会

反省点も多くありますが、早く始めたことに関しては本当によかったと思っています。
試験が6月に終わり、多くの人が一休み入れている中、自分はすぐに頭を修士論文の作成に切替え始めました。私も試験後はかなり疲れていて休みたかったのですが、試験結果に自信がなく、最悪追試になっても準備ができるようにと考えたのが正直なところです。

多少効率の悪い点もありましたが、早く取り組んだ甲斐もあって締切日の数週間前には論文の9割ほどが完成しており、見直しなどができる余裕もありました。

修士論文の締切は帰国の日程と被っている方が多いと思いますので、たとえ追試の心配がなくとも、時間のゆとりを持たせて論文を完成させておくと安心かと思います。また、帰国準備は思っているよりも時間がかかることが多いので、それを念頭に入れて準備をすることが必要になります。

私は早めに論文執筆を終わらせることができたため、帰国準備と並行して友人と食事に行ったり、ロンドンで少し観光をしたりする余裕もありました。皆さんも可能であれば早めに終わらせて、帰国までにやりたいことをやり切れるようにしておくと良いと思います。

読んでくださった皆さまへ

▲ 帰国前にはお土産の買い出しにもいきました

修士論文と同様規模の文章は日本語でも作成したことがなく、入学当初から不安でいっぱいでしたが、先に述べた通り、学期中の課題をこなし、試験期間などを乗り越えることで文量に対する不安は全くなくなり、リサーチに集中することができました。

これから入学を控えている方々はぜひ早めの準備を心がけていただき、自分のペースを崩すことなく、論文執筆を成し遂げていただければと思います。

数か月におよぶ執筆期間は大変ですが、終了後は非常に大きな達成感を得ることができます!

SOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院(ロンドン大学)について

SOAS ロンドン大学東洋アフリカ学院(ロンドン大学)は、その名が示す通り、アジア・アフリカ分野を特化した高等研究機関で、多くの大学ランキングで世界トップ級の評価を得ています。教鞭を執る教師陣の多くは各分野を最先端で研究する専門家。キャンパスは大都市ロンドンの中心にあり、英国博物館も目と鼻の先というロケーション。学内の施設で特徴的なものは、なんといってもアジア・アフリカ研究で世界有数の図書館。蔵書数が150万冊を超え、専門学習には最適な環境が整っています。

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